私がコンサルタントとして、個人でビジネスをする方のサポートを始めてから、5年以上が経ちました。
長く伴走していると、クライアントさん自身のビジネスも少しずつ育っていきます。
最初は一人でサービスを提供していた方にも、お客様や受講生、生徒さんが増えていく。
そして、ご自身がこれまで経験してきたことや身につけてきた知識を、講座やサービスとして人に伝える立場になる方も少なくありません。
そんな変化の中で、昨年くらいから増えてきたご相談があります。
- 「受講生に、自分のサービスを真似されたように感じます」
- 「卒業生が、自分のサービス名とよく似た名前を使っています」
- 「商標を取っているわけではないので、何も言えないのでしょうか」
状況はそれぞれ違います。
ただ、共通しているのは、真似されたと感じたことへのモヤモヤと、
「こんなことを気にする私は、心が狭いのでしょうか」
という戸惑いです。
そんなこと思う自分も嫌になりますよね。。。
最初にお伝えしたいのは、その気持ちはとてもよく分かるということです。
自分が時間をかけて考え、試行錯誤を重ねながら育ててきたサービスです。
名前を考えるまでにも、内容を作るまでにも、伝え方を整えるまでにも、たくさんの時間を使ってきたと思います。
それを、自分の近くで学んでいた人が、よく似た名前や形で提供していると知れば、複雑な気持ちになるのは自然なことです。
心が狭いわけではありません。
大切に育ててきたものだからこそ、モヤモヤするのだと思います。
真似されたと感じても、すぐに相手を悪者にしなくていい
私自身も、ビジネスを始めて10年近くになります。
その中で、
「これは、私の講座を参考にしたのかな」
「このサービス名や言葉は、以前お伝えしたものと似ているな」
と思ったことは、何度もあります。
ただ私は、誰かが自分のサービスや発信を参考にすること自体を、すべて悪いことだとは考えていません。
誰かの仕事を見て、
「素敵だな」
「自分も取り入れたいな」
と思うことはあります。
私自身も、これまでたくさんの方の仕事や考え方から学びながら、自分のビジネスを作ってきました。
真似したいと思うほど、何かを良いと感じてもらえたのであれば、それは嬉しいことでもあります。
一方で、参考にすることと、そのまま使うことは違います。
ただ、その違いを本人が理解していない場合もあります。
悪意があって隠れて真似をしているとは限りません。
そもそも、それをしてはいけないと知らないこともあるのです。
私も、知らずに画像を使ってしまったことがある
私にも、今でも忘れられない経験があります。
まだ開業する前、専業主婦だった頃の話です。
当時、私はアメーバブログを書いていました。
あるとき、バースデープランナーの資格を取りたいと思い、講座に申し込みました。
そのことをブログの日記に書こうと思い、イメージ画像も一緒に載せることにしました。
当時の私は、Yahoo!で検索して表示された画像を保存し、そのままブログに掲載してしまったのです。
数日後、その協会のトップの方からお電話をいただきました。
そこで初めて、検索して出てきた画像だからといって、自由に使ってよいわけではないことを教えていただきました。
その方は、私を強く叱ったわけではありません。
知らなかった私に、丁寧に教えてくださいました。
本当に申し訳なかったですし、同時に、とてもありがたかったことを覚えています。
私はそのとき、悪いことをしようと思って画像を使ったわけではありませんでした。
ただ、知らなかったのです。
もちろん、知らなければ何をしてもよいわけではありません。
それでも、自分自身にこの経験があるからこそ、誰かが似たことをしていたときに、最初から悪意があると決めつけることはしたくないと思っています。
知らずにやってしまうことは、誰にでもあるからです。
大切なのは、知らなかったことを教えてもらった後に、どのように行動するかだと思います。
受講生にサービスを真似されたと感じたときの対応
受講生や卒業生にサービスを真似されたと感じたときは、まず感情と事実を少し分けて整理することが大切です。
モヤモヤした気持ちを無理になくす必要はありません。
そのうえで、次のことを確認してみます。
どこまで似ているのかを確認する
サービス名だけが似ているのか。
講座の内容や構成まで似ているのか。
自分が作った文章やスライド、テキストがそのまま使われているのか。
自分のお客様が見たときに、同じサービスだと混同する可能性があるのか。
「真似された」と感じても、実際にどの部分が似ているのかによって、対応は変わります。
まずは、感情のまま相手に連絡する前に、事実を確認することが必要です。
利用ルールを事前に伝えていたかを振り返る
もう一つ確認したいのが、提供する側が、どこまで使ってよいのかを事前に伝えていたかということです。
「普通は分かるだろう」
「そのまま使わないのは常識だろう」
と思っていても、その常識が相手と同じとは限りません。
だからこそ、講座やコンサルティングを提供する側も、使ってよい範囲と、使ってはいけない範囲を言葉にしておくことが大切です。
使ってよいものと、使ってはいけないものを最初に伝える
私は「Webスタイリング講座」という講座を運営しています。
この講座では、講座内で使用しているテキストを、そのまま複製して使うことはできないとお伝えしています。
一方で、講座で学んだ知識や考え方を、ご自身のビジネスに取り入れることは問題ありません。
実際に、学んだことを自分のお客様に届けるために、オリジナルのスライドやテキストを作っている方もいます。
また、「Webスタイリスト®」という名称は、私が商標登録をしています。
ただし、講座の受講生には、この名称を使ってよいと伝えています。
プレシャインラボでお渡ししているデザインテンプレートも、受講生には商用利用していただけることを明示しています。
私は、学んだことをすべて囲い込みたいわけではありません。
せっかく時間とお金を使って学んでくださったのだから、ご自身のビジネスに役立ててほしいと思っています。
だからこそ、
何をそのまま使ってよいのか。
何は自分の言葉や形に変える必要があるのか。
何を複製してはいけないのか。
どこまで商用利用できるのか。
その境界を、最初に伝えるようにしています。
利用範囲を明確にすることは、自分のサービスを守るためだけではありません。
受講生が安心して学びを活用するためにも必要なことです。
使ってよいのに、受講生が遠慮して活用できないのも、もったいないことです。
反対に、使ってはいけないと知らずに使ってしまい、後からトラブルになることも避けたいと思っています。
絶対に守りたいものは、自分で守る
利用ルールを伝えることと同時に、絶対に取られたくないものは、自分で守るための行動を取ることも大切です。
たとえば、私の屋号である「Preshine」は、商標登録をしています。
私にとって、長い時間をかけて育ててきた大切な名前です。
他の人に自由に使われても構わないとは思っていません。
だから、相手のモラルだけに任せるのではなく、商標登録という形で守っています。
今は、SNSやオンライン講座、デザインテンプレート、AIなどを通して、他の人の言葉やサービス、見せ方に触れる機会が増えました。
参考にしやすくなった分、参考と模倣、活用と複製の境界も曖昧になりやすい時代です。
「きっと誰も使わないだろう」
「普通は分かってくれるだろう」
と思っているだけでは、守れないものもあります。
自由に使ってほしいもの。
条件つきで使ってよいもの。
そのまま使ってほしくないもの。
絶対に守りたいもの。
まずは自分の中で線引きをし、それを相手に伝える。
そして、必要であれば、契約書や利用規約、著作権表示、商標登録などを使って守る。
それも、ビジネスを長く続けるために必要なことだと思います。
※商標権や著作権など、法的な判断が必要な場合は、弁理士や弁護士などの専門家に相談してください。
グレーなことほど、本人に聞いたらいい
私はクライアントさんにも、いつも伝えていることがあります。
グレーなことは、やらない。
そして、
「これは使っても大丈夫かな」
「この形で自分のサービスに取り入れてよいのかな」
と思ったら、相手に聞いたらいい。相談したらいい。
規約に書かれていないから。
禁止されていないから。
法律に触れるか分からないから。
だから、本人に知られないように進めるという選択はしない。
もし自分の中に、
「本人に見つかったら気まずいな」
「直接言うのは少し怖いな」
「できれば知られないまま進めたいな」
という気持ちがあるなら、一度立ち止まった方がよいと思います。
「講座で学んだ内容を、このような形で自分のサービスに取り入れたいのですが、大丈夫ですか」
「このテンプレートを、お客様向けの資料に使ってもよいですか」
「似たサービス名を考えているのですが、どう感じますか」
そう聞けばよいのです。
大丈夫と言ってもらえたら、安心して進められます。
難しいと言われたら、別の方法を考えればよい。
裏でこっそり進めたことは、たとえ誰にも指摘されなかったとしても、自分の中にずっと引っかかります。
サービスを案内するたびに気になる。
発信するたびに、本人に見つからないか不安になる。
サービスが広がれば広がるほど、後ろめたさも大きくなるかもしれません。
そんな状態でビジネスを続けるのは、苦しいものです。
グレーなことほど、コミュニケーションを取る。
それが、自分自身を守ることにもつながると思います。
使ってよいと伝えていても、一言あると嬉しい
ここからは、ルールではなく、私個人の気持ちです。
私が「使ってよい」と伝えているものについては、使用するたびに許可を取る必要はありません。
連絡をしなかったからといって、相手に非があるとも思っていません。
それでも、実際に使うときに、一言連絡をくださる方を、私はとても素敵だなと思います。
「こんなふうに活用させていただきました」
「自分のサービスに取り入れてみました」
「とても使いやすかったです」
そんな言葉をいただくと、やっぱり嬉しいです。
こちらも、その方の活動を応援したいという気持ちになります。
反対に、SNSを見て初めて使われていることを知ったときには、
「一言あってもよかったのにな」
と思う自分もいます。
使ってはいけないとは言っていません。
許可が必要だったわけでもありません。
だから、相手が悪いという話ではないのです。
ただ、せっかく知り合い、言葉を交わし、一緒に学ぶ時間を過ごしてきた関係だからこそ、本人から聞きたかった。
それだけなのだと思います。
結局これは、使用ルールだけでは説明できない、コミュニケーションの話です。
ビジネスは、ルールだけでは続かない
受講生にサービスを真似されたと感じたとき、モヤモヤするのは自然なことです。
まずは、その気持ちを否定しなくてよいと思います。
一方で、相手は、してはいけないことだと知らなかった可能性もあります。
私自身も、知らずに画像を使い、後から教えていただいた経験があります。
だからこそ、すぐに悪意があると決めつけるのではなく、必要であれば相手に伝える。
そして、提供する側も、同じことが起きないように、使ってよい範囲と使ってはいけない範囲を最初に明示する。
絶対に守りたい名称やブランドは、必要に応じて権利として守る。
迷った側は、裏で進めず本人に相談する。
ここまでが、ルールや仕組みとしてできることです。
でも、最後に残るのは、やっぱり人と人とのコミュニケーションなのだと思います。
使えるか、使えないか。
違反か、違反ではないか。
それだけでビジネスはできているわけではありません。
誰かが時間をかけて生み出したものに、どのような敬意を払うのか。
迷ったときに、相手とどのような対話をするのか。
せっかく生まれた関係を、その後も大切にしようと思えるのか。
そうした小さな姿勢の積み重ねが、信頼関係を作るのだと思います。
使ってよいものは、最初に伝える。
守りたいものは、自分で守る。
グレーなことは、裏で進めず本人に聞く。
そして、ルール上は問題がなくても、相手の気持ちを想像し、一言のコミュニケーションを大切にする。
長く、気持ちよくビジネスを続けていくために、私はこの姿勢を大切にしたいと思っています。
受講生にサービスを真似されたときのよくある質問
受講生にサービス名を真似されたら、やめてもらえますか?
商標登録の有無や、名称がどの程度似ているか、お客様が同じサービスだと混同する可能性があるかなどによって対応は異なります。
まずは事実を整理し、必要であれば本人に状況を確認します。法的に使用を止められるか判断したい場合は、弁理士や弁護士などの専門家に相談してください。
商標登録をしていなければ、相手には何も言えませんか?
商標登録をしていないからといって、相手に気持ちや事情を伝えられないわけではありません。
ただし、法的に使用を禁止できるかという話と、「よく似ていて困っているので、一度相談したい」と伝えるコミュニケーションは分けて考える必要があります。
講座で学んだ内容を、自分のサービスに使ってもよいのでしょうか?
講座の利用規約や、提供者が定めている使用範囲によります。
学んだ知識を自分なりに再構成して活用できる場合もあれば、テキストやスライド、文章の複製が禁止されている場合もあります。
分からない場合は、自己判断で進めず、講座の提供者に確認するのが安心です。
商用利用可能なテンプレートは、自由に使ってよいですか?
商用利用可能と記載されていても、再配布、転売、第三者への譲渡、テンプレート自体の販売などは禁止されている場合があります。
利用できる範囲は提供者によって異なるため、必ず規約や案内を確認してください。
真似されたと感じてモヤモヤするのは、心が狭いのでしょうか?
心が狭いわけではありません。
自分が時間をかけて育ててきたサービスだからこそ、複雑な気持ちになるのは自然なことです。
ただし、感情と事実を分け、相手に悪意があると決めつける前に、どこまで似ているのか、利用ルールを伝えていたか、本人が知らない可能性はないかを確認することが大切です。
似たサービスを作りたいときは、どうすればよいですか?
少しでも「本人に知られたら気まずい」と感じる場合は、先に相談することをおすすめします。
何を参考にしたのか、どのような形で使いたいのかを伝え、問題がないか確認すれば、後ろめたさを抱えずにサービスを育てていくことができます。