講座やコンサルを受けると、かなりの確率で言われることがあります。
「まずはペルソナを決めましょう」
「理想のお客様を明確にしましょう」
年齢、職業、家族構成、住んでいる場所。
言われたとおりに人物像を書き出しながら、こんな疑問を感じたことはないでしょうか。
- 「これは結局、私が想像して作った人物だよね」
- 「本当にそんなことで悩んでいるの?」
- 「仮説にすぎないのに、意味があるの?」
その感覚は、間違っていません。
ペルソナは、最初は仮説です。
しかし、仮説だから意味がないのではありません。
ペルソナとは、お客様の正解を当てるための人物設定ではなく、お客様を想像し、提案の準備をするための仮説です。
そして、年齢や職業を決めただけでは、まだビジネスには活かせません。
大切なのは、設定したペルソナが今どんな感情にいるのかまで想像することです。
ペルソナ設定とは
ペルソナ設定とは、自分の商品やサービスを届けたいお客様を、具体的な一人として想像することです。
一般的には、次のような項目を決めます。
年齢、職業、家族構成、住んでいる場所、生活スタイル、抱えている悩み、望んでいる未来。
こうした情報を整理すること自体には意味があります。
問題は、プロフィールを書き終えたことで、お客様を理解したつもりになってしまうことです。
たとえば、
「在宅ワークを始めたい、子育て中の主婦」
と決めたとします。
しかし、この情報だけでは、その人に何を伝えればよいのかまでは分かりません。
家でできる仕事を初めて知り、
「こんな働き方があるんだ」
とワクワクしている人かもしれません。
すでに複数の講座を受け、挑戦してきたけれどうまくいかず、
「私にはもう無理なのかもしれない」
と疲れている人かもしれません。
周りの人が前へ進んでいるように見えて、焦っている人もいます。
今の働き方を変えたいけれど、また失敗するのが怖くて動けない人もいるでしょう。
同じ年齢、同じ職業、同じ家族構成でも、今いる感情の場所は違います。
感情が違えば、必要な言葉も変わります。
ペルソナは作って終わりではない
今日のPreshine Labのグループコンサルでも、ペルソナについて話しました。
その中で私がお伝えしたのは、
「その人がどんな様子で、どんな話し方で、自分に何と相談しているのかが見えるところまで想像する」
ということです。
目の前にいる一人として想像できない状態では、どれだけ細かなプロフィールを設定しても、机上の空論になってしまいます。
「30代の主婦に向けて発信します」
と決めるだけではなく、
その人は、どんな一日を過ごしているのか。
どんな瞬間に苦しくなるのか。
家族には何と話しているのか。
自分の悩みを、どんな言葉で表現するのか。
何を諦めかけているのか。
それでも、何を諦めたくないと思っているのか。
そこまで想像して、初めて届く言葉が見えてきます。
お客様の「今の感情」まで考える
私は、ペルソナを考える時、その人が今いる感情まで言語化します。
ワクワクしているのか。
焦っているのか。
疲れているのか。
怖がっているのか。
少し諦めかけているのか。
それでも、まだ諦めたくないと思っているのか。
同じサービスを必要としている人でも、その人が今どの感情にいるかによって、響く言葉は変わります。
これから新しい働き方を知ろうとしている人に、
「これまで何度も失敗してきたあなたへ」
と伝えても、自分のことだとは感じないでしょう。
反対に、何度も学び、思うような成果につながらず疲れている人へ、
「新しい働き方を始めてみませんか」
と明るく呼びかけるだけでは、気持ちを置き去りにしてしまうかもしれません。
発信する側が言いたいことではなく、その人が今受け取れる言葉を考える。
それが、感情まで考えるということです。
感情の言語化については著書でも詳しく解説しています。
ペルソナを想像する意味を、アパレル時代に学んだ
私はアパレルで働いていた頃、毎朝の朝礼で、スタッフと一緒にその日のお客様を想像していました。
平日の朝から入店するお客様は、どんな人だろう。
週末の夕方に来る人は、どこで何をしてから来るのだろう。
暑い日に街へ出る人は、何を探しているだろう。
雨の日に玄関を出る時は、どんな気持ちだろう。
そのお客様は、自分のためにゆっくり買い物をしたいのか。
予定に着ていく服を急いで探しているのか。
いつもの自分を少し変えたいと思っているのか。
まだ来店していないお客様について、たくさん想像しました。
「来店してから本人に聞けばいい」
と思う人もいるかもしれません。
もちろん、実際のお客様へ聞くことは必要です。
しかし、お客様が来てから初めて考え始める人と、来店前から何通りも想像し、提案を準備している人では、持っている引き出しの数が違います。
お客様は、自分の望みを最初からすべて言葉にできるとは限りません。
「デニムが欲しいです」
という言葉の奥に、
スタイルをよく見せたい。
手持ちの服と合わせたい。
いつもの印象を少し変えたい。
自分に似合う形が分からない。
という思いが隠れているかもしれません。
事前にいくつもの状況を想像しているからこそ、目の前のお客様の話を聞いた時に、
「もしかしたら、こういうことですか?」
と、一歩深い提案ができます。
ペルソナを考える目的も同じです。
がむしゃらに売るためではありません。
目の前に現れたお客様に、その人に合った提案ができるよう、引き出しを増やしておくためです。
「仮説だから意味がない」で止まらない
ペルソナの感情まで考えていると、
「これは私の勝手な想像かもしれない」
と思うことがあります。
もちろん、最初は想像です。
本人へ聞いてみなければ、本当の悩みかどうかは分かりません。
しかし、
「本当かどうか分からないから考えない」
で終わってしまったら、そこで止まります。
まず仮説を立てる。
その人に向けて発信する。
反応を見る。
実際にお客様と話す。
違っていたら修正する。
この繰り返しです。
仮説があるからこそ、
「想像していた悩みとは違った」
「本当に困っていたのは、そこではなかった」
と気づけます。
何も想像していなければ、違いにすら気づけません。
ペルソナは、一度で正解を当てるためのものではありません。
想像と対話を繰り返しながら、お客様への理解を深めるためのものです。
ペルソナの感情が分かると、何が変わるのか
ペルソナの感情まで想像できるようになると、発信だけでなく、ビジネス全体が変わります。
発信する言葉が変わる
誰にでも当てはまる言葉ではなく、その人が今感じていることに寄り添った言葉を選べるようになります。
サービスの内容が変わる
自分が教えたいことを並べるのではなく、お客様が次へ進むために本当に必要なサポートを考えられます。
提案の仕方が変わる
一つの売り方を全員へ当てはめるのではなく、その人の状況や感情に合わせた提案ができます。
集客導線がつながる
SNS、ブログ、メルマガ、個別相談、サービスが、それぞれ独立した施策ではなく、お客様の感情の変化に沿ってつながっていきます。
ペルソナ設定の価値は、人物設定そのものにあるのではありません。
その人物を起点に、発信、サービス、集客、提案を考えられることにあります。
AIを使う時こそ、感情まで共有する
ChatGPTやClaudeに、
「30代の子育て中の主婦に向けた投稿を作って」
と頼めば、すぐに文章は作れます。
しかし、年齢や職業しか共有していなければ、AIが作れる文章も、その情報の範囲を出ません。
たとえば、
いろいろなことに挑戦してきた。
学びにも投資してきた。
それでも思うような働き方を作れず、少し疲れている。
「私にはもう無理なのかもしれない」と思っている。
でも、本当はまだ諦めたくない。
そこまで言語化して共有すれば、返ってくる言葉は変わります。
AIに良い文章を作ってもらうためだけではありません。
自分自身が、
「私は、今どんな人に届けようとしているのか」
を見失わないためにも必要です。
AIは、曖昧な指示でも素早く形にしてくれます。
だからこそ、ペルソナが曖昧なまま使うと、曖昧な方向へ進む速度だけが上がってしまいます。
ペルソナ設定で最も大切なこと
ペルソナ設定で最も大切なのは、年齢や職業を細かく決めることではありません。
その人が今どんな感情にいるのかまで想像し、その人に必要な言葉や提案を考えることです。
最初は仮説で構いません。
仮説を立て、発信し、対話し、反応を見て、修正していく。
ペルソナは、作って終わりではありません。
実際のお客様との対話を重ねながら、理解し続けるものです。
お客様が現れてから初めて考えるのではなく、出会う前からたくさん想像しておく。
そして目の前に現れた時、その人に合わせて提案できる引き出しを持っておく。
それが、私にとってペルソナを考える意味です。
ペルソナ設定についてよくある質問
ペルソナ設定は本当に必要ですか?
商品やサービスを誰に届けるかを具体的に考えるために必要です。ただし、年齢や職業を決めるだけでは十分ではありません。その人の悩みや感情まで想像し、発信やサービスに活かすことが大切です。
ペルソナは架空の人物でも意味がありますか?
最初は仮説で構いません。仮説をもとに発信し、実際のお客様との対話や反応から修正していくことで、理解を深められます。
ペルソナとターゲットの違いは何ですか?
ターゲットは商品やサービスを届ける顧客層です。ペルソナは、その顧客層の中から、具体的な一人として生活や悩み、感情まで想像した人物像です。
ペルソナには何を設定すればよいですか?
年齢、職業、家族構成などの属性に加え、今抱えている悩み、望んでいる未来、行動できない理由、日常で感じている感情まで考えます。
ペルソナを作った後は何をすればよいですか?
その人の感情に合わせて、発信内容、サービス、集客導線、提案方法を考えます。その後は実際のお客様の反応や対話をもとに、設定を更新していきます。