「やりたいことはある。でも、お金にならない」
最近、RE:START60の個別セッションで、そんなご相談をいただくことが増えました。
好きなことがある。
やってみたいこともある。
誰かの役にも立てそう。
でも、
「これって仕事になるんでしょうか?」
「どうやってマネタイズしたらいいですか?」
と悩んでしまう。
少し前の私だったら、ビジネスコンサルタントとして、
「どうすれば売れる形にできるだろう?」
「誰に届けたらいいだろう?」
「どんなサービスにしたらお金になるだろう?」
と考えていたと思います。
でも今は、その前にひとつ考えることがあります。
それ、本当にマネタイズする必要があるのかな。
やりたいことは、必ずしも仕事にしなくてもいい。
最近は、そんなふうに考えるようになりました。
母を見ていて気づいた「お金にならない価値」
そんなことを考えるきっかけになったのが、母でした。
母は地元のコミュニティセンターで、もう20年以上働いています。
昨年くらいから、ご高齢の利用者さんたちに折り紙を教えるようになりました。
もともと折り紙が得意だったわけではありません。
最初はYouTubeを見ながら、自分で折り方を覚えていました。
ところが実家に帰るたびに、作品がどんどん増えていて。
壁やテーブルの上が、ちょっとした作品展みたいになっています。
しかも、なかなかのクオリティ(笑)。
「すごいね」
と話していたのですが、もっと驚いたのは、参加費がほぼ材料費だけだったこと。
200円くらいだったと思います。
もちろん、コミュニティセンターのサービスなので、母がお金儲けとしてやっているわけではありません。
でも、準備には時間がかかります。
作り方を調べて。
試作品を作って。
当日は利用者さんに教える。
同僚の方にも手伝ってもらう。
それでも母は、それでいいようです。
利用者さんたちが楽しみに来てくれる。
みんなで話をしながら作品を作る。
完成したものを嬉しそうに持って帰る。
そして手伝っている同僚の方たちまで、生き生きしている。
その姿を見ているだけで、母にとっては十分なのだと思います。
「価値があるならビジネスにする」が当たり前になっていた
私は長く、販売やビジネスの世界にいます。
だから、母の折り紙を見ても、つい考えてしまいます。
「これ、販売できそう」
「ワークショップにしたら?」
「もっと料金取ってもいいんじゃない?」
仕事柄、どうしてもそういう視点になるんですよね。
誰かから求められている。
喜んでくれる人がいる。
自分が得意なことがある。
それなら、
「商品にできるのでは?」
「サービスにできるのでは?」
「マネタイズできるのでは?」
と考える。
それ自体は悪いことではありません。
仕事として続けるなら、お金をいただくことは必要です。
価値のあるものに、きちんと価格をつけることも大切です。
でも、長くビジネスの世界にいるうちに、
価値があるものは、お金に変えなければいけない。
どこかで、そんなふうに思い込んでいたのかもしれません。
やりたいことがお金にならない。それでもいい
個別セッションでも、
「これをやりたいんです。でも、お金にならなくて」
とお話しされる方がいます。
以前の私なら、
「では、どうマネタイズするか考えましょう」
と答えていたと思います。
でも先日は、
「それ、別にマネタイズしなくてもいいんじゃないですか?」
とお話ししました。
やりたいことは、そのままやりたいこととして続ける。
生活に必要なお金は、別の場所で稼ぐ。
それでもいいと思うんです。
たとえば、
業務委託で仕事をする。
パートで働く。
副業OKの会社で働く。
今までの経験を活かして、安定した収入を別で確保する。
そうしながら、本当にやりたい活動を続ける。
十分ありだと思います。
「好きなことを仕事にする」が苦しくなることもある
「好きなことを仕事にする」
という言葉は、とても魅力的です。
私自身も、好きなことや得意なことを仕事にしてきました。
だから、それを否定したいわけではありません。
ただ、
好きなことを仕事にした瞬間から、
売上を考えなければいけなくなります。
お客様に求められるものを考える。
価格を考える。
集客をする。
売れる形に変える。
継続できるサービスにする。
そうしているうちに、
最初にやりたかったことから、少しずつ離れてしまうことがあります。
「本当はこうしたかったのに」
「売れるように変えていたら、楽しくなくなった」
「好きだったことなのに、やりたくなくなった」
そんなことも起こります。
だから私は最近、
やりたいことを守るために、あえて仕事にしない
という選択もあると思っています。
40代からは「好き」と「稼ぐ」を分けてもいい
40代になると、仕事だけで人生を考えることが少しずつ減ってくる気がします。
家族のこと。
自分の体のこと。
これからどこで暮らしたいか。
どんな毎日を送りたいか。
誰と過ごしたいか。
何に時間を使いたいか。
仕事はもちろん大切だけれど、
人生の全部ではない。
だからこそ、
「何が一番稼げるか」
だけではなく、
どうすれば穏やかに暮らせるか
という視点から働き方を考えてもいいと思っています。
好きなことは好きなこととして続ける。
得意な仕事では、きちんとお金を稼ぐ。
生活費は安定した仕事から得る。
週に数日だけ働いて、残りは自分のやりたいことをする。
ひとつの仕事ですべてを満たそうとしなくてもいい。
私は最近、そんな働き方の方がむしろ自然なのではないかと思うようになりました。
「稼ぐ仕事」と「やりたいこと」は同じでなくていい
私たちは、つい
「天職を見つけなきゃ」
「好きなことで稼がなきゃ」
「やりたいことを仕事にしなきゃ」
と思いがちです。
でも、ひとつの仕事に、
収入も、
やりがいも、
自己実現も、
楽しさも、
社会貢献も、
全部求めなくてもいい。
稼ぐための仕事があってもいい。
誰かに喜んでもらうための活動があってもいい。
自分がただ好きだから続けるものがあってもいい。
それぞれ別でいいんです。
むしろ、その方がひとつひとつを大切にできることもあると思います。
お金にならなくても、価値はある
母の折り紙には、間違いなく価値があります。
利用者さんが楽しみに来てくれる。
人と話す時間が生まれる。
誰かと一緒に作品を作る。
完成したときに嬉しい。
働いている人たちまで楽しくなる。
でも、それを母がビジネスにする必要はありません。
お金にならなくても、価値はある。
そして、
価値があることと、マネタイズできることは同じではありません。
それに気づいてから、私自身も仕事のサポートの仕方が少し変わりました。
今は、
「どうすれば売れるか」
だけではなく、
「あなたは、どんな毎日を送りたいですか?」
「その中で、仕事をどのくらいの場所に置きたいですか?」
というところから一緒に考えたいと思っています。
もちろん、お金は必要です。
だから稼ぐこともちゃんと考える。
でも、
やりたいことを全部お金に変えなくてもいい。
売れないものを、無理に売れるものへ変えなくてもいい。
好きなことを、好きなまま残してもいい。
40代からの働き方は、
「好きなことで稼げるか」ではなく、
好きなことも、仕事も、暮らしも、自分にとってちょうどいい場所に置いていく。
そんな考え方でもいいのではないでしょうか。
私自身も今、
そんな働き方や生き方を選び直しているところです。
